NAP策定への意見:人権デューディリジェンス

ビジネスと人権に関する行動計画(NAP)策定への市民社会からの意見書

(2020年1月23日)

【現状と課題】

  • 国連ビジネスと人権に関する指導原則の原則17~21は人権デューディリジェンスの実施を明記しており、米国、英国、ドイツ、フランス、スウェーデン等のNAPにはいずれも人権デューディリジェンスが明記されている。
  • 日本のNAPにおいて、ベースラインスタディ報告書では、日本企業のデューディリジェンスのノウハウ不足等を課題として挙げながら、「国際的に人権デューディリジェンスへの関心が高まる中、日本企業の国際競争力の強化のためにも、更なる取り組みが求められる」(P90)と抽象的な表現にとどまっていたが、NAPにおいてはこれを具体化し、人権デューディリジェンスに優先的に取り組む必要がある。
  • 一方、企業のなかでも人権デューディリジェンスの実施は十分になされているとは言い難く(1)、人権デューディリジェンスに関する理解や意識も極めて低い状況である。こうした状況を変えるためにも、人権デューディリジェンスが日本のNAPにおいても優先事項として取り入れられるべきである。

【NAPへの提言】

  • 「責任ある企業行動のためのOECDデュー・ディリジェンス・ガイダンス」等を参照したガイドラインの策定、もしくはOECDガイダンスに関する企業への啓発・教育・支援。
  • 上場企業に対し、人権デューディリジェンスの実施を求めるとともに、そのプロセスの開示を奨励する等の施策。
  • 業界やセクター別の人権デューディリジェンスに関するイニシアティブを政府が支援すること。
  • 人権デューディリジェンスの法制化について検討することを優先課題の一つに取り込む必要がある。
  • なお、ドイツの国別行動計画では、人権デューディリジェンスの対応について、社員500名以上の大企業の反応を2020年までに見極め、その状況次第で次のアクションをし(法制化含む)し、中小企業への浸透についての方策の着手に入るとし、明確なタイムラインを決めており、こうしたタイムラインを明確にしたアクションプランの策定を求めたい。

認定NPO法人ヒューマンライツ・ナウ