NAP策定への意見:開発協力

ビジネスと人権に関する行動計画(NAP)策定への市民社会からの意見書

(2020年1月23日)

【現状と課題】

  • 国がリーダーシップを取って責任を果たし得る最も重要な分野はクロスボーダーで官民連携のプロジェクトを実施する開発協力分野であり、開発協力は、ドイツ、スウェーデンの NAP 等では優先事項として取り組まれている。特に、日本のODAのインフラ整備等の各種プロジェクト実施に当たり、人権への負の影響が発生する事例はしばしば発生する。
  • JICAにおいては環境社会配慮ガイドラインを策定しているものの、人権の視点から負の影響に対して国連ビジネスと人権に関する指導原則に即した人権デューディリジェンスが実施されているかと言えば甚だ疑問である。
  • しかし、開発協力の実施主体である国は、国際人権法の義務履行者たる立場から、企業に対しても模範となるべき人権デューディリジェンスを実行していくことが要請される。

【NAPへの提言】

  • JICAがプロジェクト実施地現地の事業会社を通じてプロジェクトを実施するにあたり、サプライチェーンマネジメントとして、人権デューディリジェンスを徹底できるためには、以下のプロセスが不可欠である。
    •  開発における人権ポリシーの策定
    • ILOに即した労働者の権利、プロジェクト実施を通じ、人権に対する負のインパクトを禁止し、先住民をはじめ、対象地住民との協議により決定すること、適切な補償を含むこと
    • プロジェクト実施パートナーに対し、人権ポリシーの実施を求めること
    • 監査等によるモニタリング
    • 救済と是正のプロセスの確保
    • 業者選定において、非財務情報の開示を求め、適正な評価を実施すること

(認定NPO法人ヒューマンライツ・ナウ)