NAP策定への意見:外国人労働者

ビジネスと人権に関する行動計画(NAP)策定への市民社会からの意見書

(2020年1月23日)

【現状と課題】

  • 近年、外国人労働者は急増し、2018年10月末には146万人ほどとなり、前年比18.1万人増と過去最高を更新している。特に、深刻な人権侵害が指摘される技能実習生は、18年の新規入国が15万人にものぼっており、在留する技能実習生の増加も19年上半期だけで4万人近くに及んでいる。加えて、18年12月に改定入管法が成立し、19年4月に施行された「特定技能」では、5年間に34.5万人の受入れが見込まれており、急増傾向は加速するものと考えられる。
  • 他方、技能実習制度を改善するため2017年11月には技能実習法が施行され、制度管理にあたる外国人技能実習機構も設立された。しかし、同法施行前の監理団体数(2015年末:1,889団体)を大きく上回る2,839団体(19年12月)に許可が下りる一方、監理団体の許可取消しが3件(19年10月)、実習実施者への改善命令も3件(19年9月)にとどまるなど、制度改善の効果は確認されていない。送出し機関に対する規制として送出し国との二国間取決め(協力覚書)も進んでいるが、主要な送出し国である中国とは未締結である。この取決めには法的拘束力がなく、また未締結でも受入れが継続されるので、実効性は覚束ない。

【NAPへの提言】

  • 外国人労働者は、日本社会の知識、日本語能力、救済へのアクセスの困難さ等から、権利脆弱性を抱えている。とりわけ技能実習生は、転職の自由がなく、多額の借金を負うことも多く、深刻な人権侵害に遭いやすい。こうした技能実習制度は本来廃止すべきものであり、政府は、技能実習制度に頼らない外国人労働者受入れ政策を確立すべきである(指導原則1)。
  • 技能実習制度における人権侵害を防止するため、外国人技能実習機構の体制を強化し、技能実習生を人権侵害から保護する仕組みを確立するともに、救済へのアクセスを保障すべきである(指導原則25、27)。また、二国間取決めを締結しない、あるいは実効的に執行しない送出し国からの受入れを停止すべきである。
  • 技能実習制度が主に中小零細企業において利用されていることから、企業はサプライチェーンにおける技能実習生及び外国人労働者の実態を確認し、人権への悪影響を排除すべきである。また、国はこうした企業の取組みを推奨、支援することをNAPに明記すべきである(指導原則13、17、18)。

公益社団法人自由人権協会