2016年11月に最終版が出された国連ビジネスと人権に関するワーキンググループによる「ビジネスと人権に関する国別行動計画の指針(Guidance on National Action Plans on Business and Human Rights)」をここでは「NAPガイダンス」と略記しています。NAPの策定、実施、アップデート(改定)の各段階に関して提言する内容で、政府だけでなく「関与するすべてのステークホルダーのための参照ガイド」を意図しているとされています。
NAPガイダンスは「定義と不可欠な基準」「プロセスに関する指針」「内容に関する指針」の3つの部分から構成され、後半では、実際のNAPに盛り込むべき具体的な措置が例示されるなどした「付録」が加えられています。英文では、前半が14ページ、後半の付録が22ページ、全体では目次などを合わせて43ページです。NAPガイダンスは以下からダウンロードできます。
【NAPの定義】
NAPは「企業による人権への負の影響に対して、国連のビジネスと人権に関する指導原則(UNGPs)に適合するよう人権を保護するために国家が策定する、常に進化する政策戦略」と定義されています。
【4つの不可欠な基準】
NAPは国によってさまざまなかたちをとり得るとしながらも、以下の4つの不可欠な基準(essential criteria)が示されています。
【NAPのプロセス】
政府がNAP策定のコミットメントを行う段階から、最初のNAPを策定・公表し、その後、その改定に至るまでの推奨されるプロセスが詳細に述べられています。
その中では、①企業活動に関連する人権への負の影響を国内と国外の双方で特定した上で、②現在の取り組み状況と実際の負の影響との間のギャップについて、法令や政策と企業の取り組みとの双方にわたって現状把握し、③把握されたギャップにどう優先順位をつけて対処するかを選択する、― という中心的なプロセスが記されています。そして、こうしたプロセスの多くの段階で、関係するステークホルダーの参画・協議が必要であることも述べられています。
【NAPの内容】
NAPに含まれるべき次の5つの内容が提示されています。
なお、4の政府の対応に関しては「NAPの中核的要素は企業に関する人権への負の影響への政府の対応を明確化することである」とした上で、次のような4つの基本原則が提示されています。
◆ NAPガイダンス骨子:1ペーパー
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