「ビジネスと人権」に関する行動計画の原案に対する意見
公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン
・意見内容
「ビジネスと人権」に関する行動計画原案に対するパブリックコメント提出の機会を頂き、感謝申し上げます。
セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンは、行動計画原案の第2章 行動計画 2. 分野別行動計画 (1)横断的事項の「イ.子どもの権利の保護・促進」において、2012年に国連グローバル・コンパクト、ユニセフ、セーブ・ザ・チルドレンが策定した「子どもの権利とビジネス原則」、および2013年の国連子どもの権利委員会による一般的意見16「企業セクターが子どもの権利に与える影響に関わる国の義務について」を、ビジネスによる子どもの権利の尊重・推進のための包括的かつ実践的な枠組みとして明示することを要請します。
(以下、文案として提示させていただきます)
「イ.子どもの権利の保護・促進」
「((前略)子どもの性被害の撲滅に向けて取り組んでいる。)また、「子どもの権利とビジネス原則」および一般的意見16「企業セクターが子どもの権利に与える影響に関わる国の義務について」は、企業による子どもの権利の保護・促進を進める上で不可欠な枠組みであり、すでに関係機関に対して周知が行われている。
<具体的な措置>
(オ)「子どもの権利とビジネス原則」のさらなる周知と関係機関による推進の後押し
・)ビジネスが子どもの人権に与えうる様々な影響に着目し、負の影響を与えないことにとどまらず企業活動の本業等を通じて積極的に子どもの人権を促進する方策を進めるために、同原則の周知及び推進を後押しする。
・理由
企業活動が子どもに及ぼす影響は、原案に挙げられている取り組みや具体的措置の範囲にとどまらず、例えば子どもの保護者・養育者の雇用・労働の課題、子どもに対する広告・マーケティングの負の影響、大規模土地収用や環境破壊による子どもの生活基盤への負の影響など、職場・市場・地域環境の幅広い範囲に及びます。
上述した2つの枠組みは、企業による子どもの権利への広範な影響を包括し、国連ビジネスと人権に関する指導原則、国連子どもの権利条約、国連グローバル・コンパクト、国際労働機関条約の「最低年齢条約(138号)」と「最悪の形態の児童労働条約(182条)」、OECD多国籍企業行動指針等の、国際的に承認された基準に基づき策定されており、ビジネスと人権国別行動計画ガイダンスにも参照すべき基準として、以下のように挙げられています。
Ensuring that the national legal framework requires business enterprises to respect children’s rights such as outlined in General Comment No.16 of the Committee on the Rights of the Child. (pg.21)
Supporting standards and initiatives that promote the corporate responsibility to respect human rights with regards to groups at risk of becoming vulnerable or marginalized, such as the Children’s Rights and Business Principles. (pg.22)
日本政府のこれまでの取り組みとしても、児童の権利に関する条約第4回・5回日本政府報告においては、「児童の権利と企業部門」の報告として、「子どもの権利とビジネス原則」を関係機関に周知したことが挙げられています。また、2018年12月に政府が発表したビジネスと人権に関するベースラインスタディ報告書:ビジネスと人権に関する国別行動計画策定に向けてでは、「子どもの権利とビジネス原則」が3か所に明記され、資料として認識されている他、政府がその「周知を行った」ということも報告されています。
以上のことから、「子どもの権利とビジネス原則」および一般的意見16「企業セクターが子どもの権利に与える影響に関わる国の義務について」は、企業による子どもの権利の保護・促進を進める上で不可欠な枠組みであることを、強く訴求いたします。
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〔注記〕(「ビジネスと人権国別行動計画ガイダンス」の該当箇所の日本語訳)
※ ガイダンス全体についてはこちらを参照。