【当事者の視点から】
【市民社会からみた救済】
【市民社会からみた諸課題】
今日の企業活動は、労働、消費など市民の生活のあらゆる面に深く関係しており、企業活動の影響も、国内と国外を問わず極めて広範囲に及んでいます。こうした中、企業活動の人権に対する負の影響への対処を求める「指導原則」の射程も自ずと広範囲に及びます。
2018年3月から10回にわたり開催されてきた「ビジネスと人権に関するベースラインスタディ意見交換会」ではあらかじめ「テーマ」が設定されていました。しかし、取り上げるべき「負の影響」は上記のように極めて広範囲であり、したがって取り上げる「テーマ」が妥当性と説得性を持つためには、NAPガイダンスのいう「負の影響の特定」→「ギャップの特定」→「優先分野の特定」というプロセスを欠かすことができません。初めから100%の範囲をカバーすることは困難ですが、しかし、まずできるかぎり射程を広げて現状をしっかりと把握することが必要です。
上記リンク先の各イシューの「現状と課題/NAPへの提言」は、意見交換会で設定された「テーマ」に一定沿いながらも、上記のような認識のもとに、周辺領域へも射程を広げながら、市民社会の視点から執筆されたものです。項目設定は、意見交換会での「テーマ」と識別するため「イシュー」としています。その対応関係は以下の表のとおりですが、「NAP策定プロセスへの見解」にも記したように、これらのイシューで十分であるとは私たちも認識しておらず、したがって現時点で非網羅的なものです。
網羅的なものであるためには、100%に限りなく近づくための社会に開かれた策定プロセスが必要であり、そのプロセスは、国家と企業活動が続く限り終わることのないものであると考えています。その意味で、社会に開かれたプロセスは、同時に、将来に開かれたものでもあるべきと考えています。このことは、NAPが将来の改定を前提としていることとも符合しています。